第二次世界大戦が終わってから、世界はゆるやかに豊かさへと向かってきた。もちろん今も各地で争いは絶えないが、それでも人々は国家の「大義」によって縛られなくても生きていけるようになった。必死に働かなくても、最低限の生活は守られる。そんな時代に入ったのだと思う。

では、人と人の関係はどう変わったのか。昔のように血縁や地域の結びつきに頼る必要は薄れ、個人はそれぞれの豊かさを追求できる段階に入っている。小競り合いや摩擦が増えるのも当然だろう。なぜなら「自分が心地よければそれでいい」という感覚が、かつてよりも強く認められているからだ。

だからこそ、自分と噛み合わない相手を無理に理解する必要はない。境界がある場所に、わざわざ顔を突っ込むこともない。場合によっては、その存在自体を知らなくてもいいのかもしれない。ただし一つだけ忘れてはならないのは――攻撃してはいけない、ということだ。

これからの世界では、「認めてほしい」という欲求を自分で消化する力が大切になる。他人に承認を求めすぎると、期待は裏切られやすく、心は疲弊してしまう。そうではなく、自分自身を見つめ直し、受け入れていくこと。それだけで十分だ。

人間関係が希薄でも構わない時代。むしろ、その希薄さが互いを自由にし、軽やかに生きることを可能にしている。そして、深い意味を持たないからこそ、かえって尊重できる関係もあるのではないだろうか。